中国の軍事開発 地域の安定脅かす「砂の長城」


2015年05月14日 01時02分

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中国が南シナ海・スプラトリー(南沙)諸島で、岩礁埋め立てを加速させている。地域の安定を脅かす行為だ。



 中国の軍事力に関する米国防総省の年次報告書が、「砂の長城」建設と呼ばれる埋め立て作業に初めて言及した。岩礁が「永続的な軍民活動拠点になる」とも指摘している。

 昨年末の時点で、5か所の埋め立て地のうち4か所で港や通信施設、飛行場などの建設に入っていた。米当局者は、その後の4か月で埋め立て地の面積が4倍の約8平方キロに拡大した、と述べた。

 異様に速いペースだ。フィリピンなどとの係争地で自国の支配を一方的に拡張し、既成事実化を図る中国の狙いは明白である。

 報告書が中国を「地域の緊張を高めるのをいとわない」と批判するのは、もっともだ。

 中国は、埋め立てを「領土や主権を守る行動」と正当化するが、独善的にすぎる。南シナ海のほぼ全体に自国の主権が及ぶとする中国の主張に国際法上の根拠がないのは、関係国の共通認識だ。

 埋め立ては、南シナ海での防空識別圏の設定や制空権確保の準備作業との見方が強い。核搭載の原子力潜水艦が年内に初の哨戒活動を行う可能性もあるとされる。

 注目すべきは、報告書が中国軍の近代化に対し、「米軍の技術的優位を減じる潜在力がある」として強い危機感を示したことだ。

 特に、宇宙分野について、中国が「世界で最も急速に発達した宇宙計画」を持ち、敵の宇宙利用を制限・妨害する能力の開発を続けている、と明記した。

 サイバー分野でも、米軍の有事介入を阻む中国の「接近阻止・領域拒否(A2AD)」戦略の一環として、ネットワーク破壊能力の増強への警戒感を示している。

 こうした新たな分野における中国の軍事技術の進展について、十分に注視していく必要がある。

 日本にとって懸念されるのは、中国海空軍の装備増強だ。

 報告書は、今後15年で複数の国産空母が建造されるとともに、ロシア製の最新鋭戦闘機スホイ35の調達やステルス戦闘機の開発が進む可能性を指摘している。

 日米両国は、先に合意した新しい日米防衛協力の指針(ガイドライン)に基づき、自衛隊と米軍の共同対処能力を強化し、中国に対する抑止力を高めるべきだ。

 関係国とも協調し、東・南シナ海での警戒・監視活動を強めるとともに、中国に軍事的な挑発を自制するよう促すことが大切だ。

2015年05月14日 01時02分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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